肝臓病について(Q&A)

肝癌

肝臓がんのステージにもよりますが、外科的治療、内科的治療(ラジオ波焼灼療法、抗がん剤内服など)、放射線科治療(肝動脈塞栓療法)があります。
肝硬変を合併している症例が多いため、肝がんの進行度と肝硬変の程度を考慮して治療方針を決める必要があります。
日本肝臓学会が作成した 「肝癌診療ガイドライン」が提示されており、わが国ではこのガイドラインを遵守した治療が通常行われています。

肝臓がん局所療法(焼灼治療)

・ラジオ波焼灼療法(RFA:radiofrequency ablation)とは、ラジオ波によって生じる熱で、がん細胞を死滅させる治療です。生卵をゆでると透明な色から不透明な白色に変わるように、たんぱく質でできているがん細胞が熱で固まるという原理を利用した治療です。

・マイクロ波アブレーション(以下、MWA)とは、同じマイクロ波を使った電子レンジと同様の原理を利用してがん細胞を熱で焼灼します。過去にも肝臓がんの局所療法の一つとして臨床に用いられていましたが、短い時間で治療が行える一方で、狭い範囲しか焼灼できないというデメリットがありました。
2017年7月に日本でも使用可能となった次世代MWA機器では、安定した球形で大きい焼灼範囲を得ることができます。

従来型のMWA機器や、冷却式電極を用いたRFAでは、焼灼域が楕円形になってしまうことや、血流により焼灼範囲が冷やされてしまう冷却効果などから、焼灼範囲を予測するのが難しいという欠点がありました。次世代MWAはこの欠点を克服し、完全な球形に近い焼灼範囲が得られることや、血流などの周囲環境からの影響を受けにくいことから、焼灼範囲をコントロールしやすくなりました。

また、RFAでは大きい焼灼範囲を得るために、病巣に電極を複数回穿刺する必要がありましたが、次世代MWAでは、焼灼時間を長くとればとるほど大きく焼灼することが可能になり、1回の穿刺で大きい焼灼範囲を得ることが可能となりました。

肝臓がん薬物療法

肝細胞がんの全身薬物療法では、分子標的薬による治療(分子標的治療)や免疫チェックポイント阻害薬による治療が標準治療です。

  一次薬物療法としてアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を行うことが推奨され, 自己免疫疾患などの併存疾患のために適応がない場合はソラフェニブまたはレンバチニブが推奨されています。

肝臓学会肝癌診療ガイドライン 2021年版より引用 日本

Q 肝臓がんの治療方法はどんなものがありますか?

A

肝臓がんのステージにもよりますが、外科的治療、内科的治療(ラジオ波焼灼療法、抗がん剤内服など)、放射線科治療(肝動脈塞栓療法)があります。

Q 肝細胞がんの治療後に気を付けることはありますか?

A

肝細胞がん治療後の再発率は、20%/年、80%/5年程度です。再発を念頭に置き、定期的に画像検査でフォローしてください。